【収録】
2007年3月 パリ・オペラ座(ガルニエ) (ライヴ)2008年5月に来日も決定 している、今もっとも熱いバレエ、パリ・オペラ座。これは、プルーストの「失われた時を求めて」のいくつかのシーンをバレエにしたてたもの。音楽も、物語 や時代背景と縁のあるものが選ばれています。今をときめくダンサー達が勢ぞろいしている舞台。小説の中では、パリの社交界における淫らな男女関係のことも 書かれていますが、バレエの中にもどきどきしてしまう官能の世界が広がっています。男性3名と女性1名の4人によって踊られる「知られざる世界との出会 い」では、女性が上半身裸身で登場。舞台のバックスクリーン全体が白く明るくなっているので、ほとんどシルエットしか見えませんが、ドビュッシーのハープ と弦楽のための舞曲の音楽と共に、ミステリアスな中に官能の世界が広がっています。また、特筆すべきはマチュー・ガニオの妖しい美しさでしょうか。彼は、 小説中に登場するサン・ルー役で登場しています。サン・ルーは非常に好ましい性格の青年で、男性の勇気と美しさの象徴のような存在ですが、結婚していなが ら同性愛の傾向もある人物。「背徳」の恋に迷いながらも溺れてゆくさまを、アクロバティックな動きもしながら、フォーレの「エレジー」のメロディーととも にマチューは見事に演じています。社交界の華やかなシーンや、社交界の美しい女性たちによる華麗な群舞なども多く見られ、非常に見ごたえのある一大物語です。